l熊谷小麦研究とは?

本研究は、立正地理学会研究委員会「熊谷地域研究委員会」の研究の一環です。熊谷地理研究会GeoStickは、この研究委員会と共同で調査を行っています。

立正大学のある熊谷市は、過去50年間にわたり埼玉県内における小麦の収穫量第1位であり、埼玉県における中心的な小麦産地を形成しています。こうした小麦生産地域の特徴は、小麦粉を利用した手打ちうどん・フライ・すいとん・炭酸まんじゅうなどの粉食文化としてあらわれています。しかしながら、小麦産地としての熊谷市の知名度は低く、熊谷市民においてもそのことを知っている人は少ないのが現状です。

本研究では、有望な地域資源である「熊谷小麦」に注目し、その生産・流通・加工・消費の流れを明らかにすることで、その知名度の低さの原因を探り課題克服のための方向性を導き出すことを目的としています。

聞き取り調査の様子
聞き取り調査の様子

 

l権田愛三と野村盛久

権田麦翁碑(別府農村広場)
権田麦翁碑(別府農村広場)

権田愛三(1850〜1928)は、現在の熊谷市東別府の出身。小麦生産技術の確立と小麦増産の研究・開発、指導・普及に尽力する。

多収栽培法として「麦踏み」「土寄せ」「土作り」を編み出した。なかでも「麦踏み」は代表的な技術である。

県の農事試験場を熊谷市へ誘致したほか、栽培方法を普及させるために全国各地で講演・自宅での指導をするなど、後進の育成に努めた。

 

野村盛久(1888〜1941)は、1920年埼玉県立農事試験場に着任後、小麦の品種改良に取り組む。特に1933年に生み出した小麦「埼玉27号」は、品種・収量ともに高く評価され、広く全国に普及した。

 

l熊谷の小麦生産

埼玉県で収穫される小麦は、2009年では17,900tと本州第3位となっている。その中で熊谷市における小麦の収穫量は、2009年には6,670トンと市町村別にみると本州第1位の収穫量を誇っている(図1)。これは、埼玉県内で収穫される小麦の37%を占めていて、熊谷における小麦生産の活発さが読み取れる(図2)。

また、10a当たりの収量では、全国や埼玉県に比べて多いことが分かる。この背景には、前記の権田愛三、野村盛久の存在や年間を通じて晴天日が多く降水量が少ないという気候的条件が考えられる。

 

l熊谷の小麦流通

熊谷市内の農家で収穫される小麦は、多くが二毛作で栽培されているために梅雨入りしてから約1週間ほどの6月中旬ごろに収穫のピークを迎える。

収穫された小麦は、もみ殻のまま熊谷市久保島にあるJAくまがや第1カントリーエレベーターと、熊谷市今井にあるJAくまがや第2カントリーエレベーターに出荷される。

出荷された小麦は全てJA全農さいたまに移管され,埼玉県内の他市町村の小麦粉と混ぜられて「埼玉県産小麦」として出荷されている。

熊谷小麦の流通経路図
熊谷小麦の流通経路図

出荷された小麦は市内の製粉会社によって製粉される。

通常は埼玉県の他に群馬県、宮城県、北海道など各地の小麦を混合して製粉し、品質を均一化させている。この行程において、埼玉県で収穫された小麦のみで挽いた小麦粉が埼玉県産小麦粉となる。

熊谷小麦においても同様の方法で製粉されるが、埼玉県産小麦の年間取扱量4,800tして熊谷小麦の年間取扱量が800tと少ないため、この作業は1年に1日だけ行われている。

この熊谷小麦は、熊谷小麦産業クラスター研究会が監修し製粉されている。

この他には、JAくまがや東部営農センター内の製粉所や、中小製粉会社によって製粉されたものがある。

熊谷小麦流通に関わる施設分布
熊谷小麦流通に関わる施設分布

製粉された熊谷小麦の小麦粉(以下「熊谷小麦」とする)は、市内の2つの食品原材料問屋に卸され市内に流通している。

卸売問屋からは主に製麺会社やうどん店、製菓、製パン業者などの小麦粉を加工する業者への流通と、製粉された小麦粉をパッケージして粉の状態での小売店への流通がある。

 

小麦粉の二次加工として、製麺、製菓、製パンなどが挙げられる。

市内の製麺会社では、市内うどん店への麺の出荷や小売店向けのお土産用うどん麺の出荷を行っている。

また、NPOくまがや小麦の会や市内の菓子店、パン屋などでサブレ、パウンドケーキ、マドレーヌなどに加工して小売店に流通している。

市内には約40店舗うどん店や熊谷うどんを扱う飲食店が分布している。

そのうち熊谷小麦を使用するうどんを扱う飲食店は22店舗分布している。

また、熊谷小麦を使用した菓子類やパンを販売している小売店は市内に約14店舗分布している。

この他に市内2か所にあるJAくまがやの農産物直売所では、各農家が持ち込んだ小麦粉も販売されている。

 

l熊谷 夏うどん

クラスター研究会と熊谷市商業観光課が主体となって、日本一熱い熊谷の夏をうどんで楽しもうという取り組みです。

詳細は、

めざせ!!熊谷・夏のめん喰い王(2010年)

うまい!熊谷夏うどんであつい熊谷を楽しもう(2009年)

 

l流し熊谷うどん

流し熊谷うどんの様子
流し熊谷うどんの様子

熊谷ドームにて行われた「あつい 思いやり祭り」に参加してきました。

熊谷小麦産業クラスター研究会では、全長100mにも及ぶ流し熊谷うどんを行いました。

当日は、暑い中400名もの人が参加して下さり熊研もお手伝いをしてきました。

スペシャルゲストとして水泳の古賀選手(熊谷出身)も流しうどんに参加しました。

古賀選手、研究会の皆さんと
古賀選手、研究会の皆さんと
アクセスカウンター

通算訪問者数

<ごあいさつ>

熊谷地理研究会の活動は2014年3月末をもって終了しました。

活動期間中は多くの方に大変お世話になりました。ありがとうございました。感謝いたします。

 

いわき市高部地区での活動は、高部地区・学生・OBと高部を通じて知り合った人々の集まり「ひまわり倶楽部」に移行しました。こちらは、今後ともよろしくお願いいたします。

 

<ひまわり倶楽部Facebookページ>